『お金で愛は買えないけれど、愛はお金で育つのよ』という銀座の話

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こんにちは、ローラです。

オーストラリアに来る前、銀座のクラブで働いていたことがありました。

本業は少し別で、タイミングがあう時だけ夜のシフトを入れてもらっていたんですが、接客スキルを教わったり、普段はなかなか会話(しかも砕けた会話)をすることが難しいような方々とお酒を交えて過ごせたことは、副収入をもらいながら、ものすごく勉強になった貴重な思い出です。

私がお世話になったクラブは、銀座8丁目という超高級クラブ激戦区の中にありながらの小さな小さなアットホームな会員制クラブで、それでいてお客様の質が高いといわれるお店でした。

2011年の『3.11』以来、銀座の様子も変わったと聞きますが、当時はまだまだ華やかなものでした。(私の渡豪が2011年の2月でした。)

ところで、常連のお客様から教わったことですが、銀座のクラブに遊びにくるお客様にはおおきくわけて二種類あるそうで、前者は見せびらかしたいお客様、後者はひっそり飲みたいお客様パターンだそう。

前者は、着物をきっちり着飾った『ザ・銀座』的な女性のいる大箱クラブを好み、同伴と言って、出勤前で着物を着飾った女性を伴って銀座のお寿司屋さんで食事をし、一緒に出勤することでステータスを感じるタイプ。一方の後者は、銀座にありながら顔見知りが集まる小さな小さな会員制クラブ(席数20程度)で、こじんまりと飲むのが好きなお客様で、お忍びを楽しまれるパターンだそう。顔や名の知れた大手企業のお偉いさんなんかは、後者のパターンが好きだそうで、着物を連れた女性を伴う男性を指しては、ああいうのは田舎者や成金がすることだ、と教えてもらった覚えがあります。なんとなく銀座で働かせてもらっていた私からすると、ビシッと着飾った着物姿の女性はものすごく格好良く見えたものですが。

私がお世話になった銀座のクラブは、素人の私でも甘受してくれるような後者のタイプ、そしてお客様同士がお互いのバックグラウンドを周知しているような常連さんばかりだったので、ものすごくマナーが保たれ、可愛いくらいの羽目をはずしながらも綺麗にお酒を嗜まれるお客様ばかりで、本当に楽しかった思い出です。

その中でも、特に上品でお茶目で可愛いい高齢のお客様(おじいちゃん)がいらっしゃいました。ご来店されると、ドンペリ・ピンクをもれなく開けてくださったので、酒飲みの私は、このおじいちゃんがいらっしゃるのが銀座で働くひとつの楽しみでもありました。この方の口癖は、『これボクのお金じゃなくて、会社のお金だからいいの』ということで、ただの一般サラリーマンだった私は、銀座にいらっしゃる経営者はお金の使い方が違うなーと感動したものです。

あとからママに教えてもらったことですが、このおじいちゃん、超老舗の会社の会長さんだそうで、生まれも育ちも生粋のお坊っちゃまだったそう。小さいころから、あの『すきやばし次郎』の次郎さんが、実家のケータリングに来られてお寿司を握ってくれていたんだそうで、それを聞いた私はもう、次元の違いに驚愕というか呆気になったものです。

あるとき私はこのおじいちゃんに無理にお願いして、お店のママ同伴で、昼間の『次郎』さんにご一緒させてもらったことがありました。当時、ミシュランの3つ星がついて世間的に話題を集めていた頃だったと記憶しています。ところが、せっかくある意味、身内の方と一緒に次郎さんのお店に行くことができたのに、このおじいちゃん、まったく言葉を発しない。ただただ黙々と食べるのみ。店を出たあとこそっと事情を尋ねると、『(次郎さんが)父親みたいで緊張するから、あの店には行きたくないんだ』とボソッとお茶目におっしゃっていたことを強く覚えています。ご自宅にまで次郎さんが来るような関係なのに。

そして、このお客様(おじいちゃん)のもうひとつの口癖に、『お金で愛は買えないけれど、愛はお金で育つのよ』というものがありました。

もともとは銀座に勤めるある女性の言葉だったそうなんですが、可愛くてお茶目で上品なこの方、酔って機嫌が良くなるといつもこれを決めゼリフのようにおっしゃって、そしていたずらっぽく笑っていたんですが、ここまで圧倒的にこのセリフが似合う人もなかなかいないだろうなーと感慨深く思ったものです。

愛はお金では買えない。けれど、圧倒的な財力をもってすれば愛を育てることも可能なんでしょう。もしくは、銀座の世界の栄華を比喩していたのかもしれません。

ときどきゴシップニュースに流れてくる、圧倒的な財力を伴った男女の恋愛事情などを知るにつれ、いつもこのおじいちゃんの決めゼリフを思い出しています。本当のところなんて、当人たちしか知る由もないけれど、やっぱりもしかして、お金で愛が育てられたのかしら!!!なんて羨ましく感じながら。

というかそもそも、愛というやらのバロメーターなんて、ヒトそれぞれの価値観によるものだし、あるヒトがなにで幸せを感じようとも(それが目に見えない愛とやらなのか現実的なお金なのか利権や自尊心が伴ったものなのか)心の充実はヒトそれぞれなわけで、結局は他人が知るよしもないわけで、ヒトの余計な世話焼いているヒマがあるなら自分を生きろという話なんでしょうが。けどみんなゴシップは好きよね。

2011年のオーストラリアに来る際に、とてもお世話になったこのおじいちゃんに銀座のお店を辞めること、日本をしばらく離れることを伝えました。すると、オーストラリア=イギリスの植民地=民度が低い国になぜ行くんだと怪訝そうに言われました。この方は若い頃、それこそ50年以上も前に英国に留学経験があったそうで。。 えっと年齢ギリギリのワーホリで、、、、、、、とも正直に言えず、かといってシャレた言い訳ができなかった私は苦笑いのままお別れしました。とても良くしてくださったおじいちゃん(お客様)なのに、それだけが未だに後悔です。

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